POC
◆POC(流産絨毛染色体検査)とは
ヒトの細胞には、父親由来と母親由来の合計46本の染色体があります。着床前に発生する染色体の異数性は、流産や妊娠の継続困難を引き起こす可能性があります。POC検査は、反復流産経験者や生殖補助医療を受ける方を対象に、流産後の胎児由来の組織を検査し、染色体の異数性を調べる検査です。
ヒトは妊娠した方の15−20%が流産すると言われ、特に若年層でも5-6人に1人の割合が高いです。主な原因は「偶発的」な染色体の数的異常であり、これは病気や遺伝的疾患とは関係ありません。ただし、反復流産の場合、偶発的なエラー以外の原因がある可能性があります。
流産絨毛染色体検査(POC)は、反復流産の原因を特定するための手段として行われます。流産した組織を手術で取得し、それを培養して染色体の数と形態を調査することで、胎児の染色体異常や母体側の原因を詳細に明らかにします。POC検査により、将来の治療方針を立てる上での重要な情報が得られます。
◆POC検査のメリット
- 染色体異数性の特定と自然妊娠の理解
自然妊娠の50%は染色体の異数性によるものであり、POC検査を通じてこの異常を特定することが可能です。
生殖補助医療を受ける方では、染色体の異数性が原因の流産が60%まで上昇することが知られています。 - 流産の原因の特定と治療方針の決定
胎児由来の組織によるPOC検査は、流産の原因を明確にする手段となります。
特に反復流産を経験した方や生殖補助医療を受けている方において、流産の原因特定が重要です。
流産の原因が特定できた場合、今後の治療方針を具体的に決定する上で重要な情報となります。 - 高い検査結果の正確性と迅速な結果取得
POC検査では従来の方法に比べて99%以上の高い検査結果の正確性が期待できます。
結果が得られるまでの時間も従来の方法よりも約2週間早く、迅速な診断が可能です。
POC検査は、染色体異常による流産の原因を特定し、それに基づいた的確な治療方針を立てる上で非常に有益な手法と言えます。
◆検査結果と治療の進行
- 胎児に染色体の数的異常がない場合
流産原因は母体側に影響がある可能性があり、母体側の検査が行われます。
子宮側にも原因がある場合、その他の検査が検討されます。 - 胎児に染色体の数的異常がある場合
この場合は特に検査は必要なく、次の治療に進むことができます。
染色体異常が原因での流産である場合、同じ治療方針を検討します。 - 染色体の構造的な異常がある場合
ご夫婦ともに染色体検査を受け、構造異常がある場合はPGT-A(着床前診断)が適応されます。
遺伝的な要因がある場合は、遺伝カウンセリングを検討します。