非認可のクリニックの使う検査会社について考える
昨今、日本においてもNIPTの検査を行う非認可の診療所が増えてきています。NIPT検査を行おうと思った際にそう言った診療所も選択肢に挙がるかと思われます。
はじめに
昨今、日本においてもNIPTの検査を行う非認可の診療所が増えてきています。NIPT検査を行おうと思った際にそう言った診療所も選択肢に挙がるかと思われます。
ここで心配になるのが「検査が正確かどうか」と言ったことではないでしょうか。今回の記事ではそう言った疑問にお答えするために果たして日本の非認可の診療所のNIPT検査の精度はどうなのかと言ったことについて掘り進めて行きたいと思いますので、診療所を選ぶための参考として活用してください。
日本の非認可の診療所はほとんど海外の企業が検査をしている
日本の非認可の診療所は、ほとんどが海外の検査会社に診断で収集した情報を元に検査を行うよう業務提携しています。そのため、検査結果が届くまでに7日から10日程度の時間を要します。
海外の会社に委託している、と言ってもその国は診療所によってバラバラです。とは言えNIPT市場に参入している企業はそれほど多くはありません。
以下、東京中心地域にある診療所を一例にとって各診療所がどの検査会社を使っているのかと言う大まかな一覧となります。
- 八重洲セムクリニック・・・ベリナタ社(米)
- 神宮外苑ミネルバクリニック・・・ベリナタ社(米)
- コンソーシアムの各施設・・・シーケノム(米)
- 東京エバーグリーンクリニック・・・ユアジーンヘルス(英)
- NIPT平石クリニック・・・ユアジーンヘルス(英)
- ACLINIC銀座・・・ユアジーンヘルス(英)
- DNA先端医療株式会社・・・ユアジーンヘルス(英)
- 青山ラジュボークリニック・・・ライフコデクス(独)
- 銀座mitaクリニック・・・NMCK(台湾)
- angeクリニック馬車道・・・NMCK(台湾)
以上のことからもわかるようにクリニックが検査を依頼している検査会社は概ね5つに絞られます。ちなみに青山ラジュボークリニックが検査を依頼しているライフコデクスは独占契約状態にあるとのことです。またここで重要になってくるのが各クリニックと業務提携を行っている検査会社の信頼度になってきますので、次の項目ではその点に関して掘り下げたいと思います。
検査会社の信頼性について
NIPT検査は普及し始めの頃、先立って米国などの国々で臨床現場に導入されました。そしてNIPTが先行導入された国々で先行プレーヤーとして2014年ごろから以下の企業がグローバル市場の大きなシェアを占めていました。
- ベリナタ社(米)
- シーケノム社(米)
- ナテラ社(米)
- アリオサ社(米)
これら4社に加え、中国企業であるBGI社、Berry Genomics社が市場に参入し、シェアを争っています。とは言え「中国系の企業に検査を依頼するのは不安」と言う考えも浮かんでくるのではないでしょうか。
実際、中国においては出生前検査のミスにより訴訟が相次いでいます。2018年に発表された情報によりますと、日本にも進出している大手中国系企業の華大基因科技有限公司(BGI)が告発を受けており、その内容は2017年末までに行った約280万件のNIPT検査のうち、約1万5000人の健常な胎児が障害を持つ恐れがあるとして中絶された可能性があると言う驚愕のものです。
BGIは2017年まではNIPTの検査結果の精度に関して「100%に近い」と報告していたものの、その後メディアや世論の追求を受けた際にその主張を覆していました。
参考:大紀元「 中国、出生前診断のミスで健常胎児1.5万人が中絶か」
なんとも恐ろしい話ですが、それゆえにNIPTの検査会社が信頼に足る企業かどうかを調べることはクリニック選びで非常に重要になって来ます。
きちんとした検査会社の場合、医学的な根拠に則った評価の高い論文を発表しているケースもあります。ここで言う”評価の高さ”と言うのはその論文の他文献への引用数や著者の他の実績のことであり、これらは学術サイトであれば数値化されていますので専門知識がなくとも質を簡単に調べることが可能です。
「発表している論文が多い=臨床検体が多い」と言う図式が成り立ちますので、それだけ検査回数が多くノウハウが蓄積されている”安心できる企業”であるとの判断ができます。
日本のクリニック選びで迷ったら最大手のべナリタ社と提携している診療所がおすすめ
以上のことを踏まえると、先ほど示した東京のクリニックが提携している検査会社の中で最も信頼性が高いのは、唯一学術論文を発表しているベリナタ社だと言えます。
ちなみにベリナタ社は、遺伝子多型や遺伝子機能の大規模解析を行うためのライフサイエンスツールやシステム開発などを行っているイルミナ社の子会社です。
また、イルミナ社はNIPTの検査機器の開発も行っています。そのため直接の子会社であるベリナタ社で行われる検査なら最新の検査環境が約束されるのです。そしてイルミナ社の検査機器を使っているのはベリナタ社だけでなく、先ほどご紹介したシーケノム社、ナテラ社、アリオサ社もイルミナ社製の機材を使用しています。
他にも、ドイツや台湾の企業も使っているとのことで、実質ほぼ全てのNIPT検査会社がイルミナ社の検査機器でNIPT検査を行っていると言えます。この理由は2014年にイルミナ社とシーケノム社がNIPTに関する特許を全て集約し、パテントプールとすることを取り決めたことに由来します。
これにより長らく特許訴訟で揉めていた先行プレーヤーである大手4社が一気に市場拡大に乗り出すことができ、NIPT検査の普及に大きく貢献したのです。
まとめ
少し脱線してしまいましたが、以上のことから診療所が提携している検査会社をクリニック選びの参考にしたいと思われたら、イルミナ社の直接の子会社であるべナリタ社に検査を委託している診療所にするのが無難と言えるのではないでしょうか。
もちろん、今回ご紹介した「検査会社によるクリニックの選定」は一つの基準にすぎません。出生前検査を行うクリニック選びには医師のヒアリングや肝心のクリニックでの検診の質、かかる費用など様々な要因を考慮に入れる必要があります。
出生前検査は生まれてくる子供の未来も決め得る大切な検査です。それだけにちゃんとした検査を受けたいと思うのは当然のことですが、診療所を選ぶための情報が不足していたら中々それも難しいかと思われます。もしよろしければ、今回の記事に書かれていることをNIPTのクリニック選びに役立てていただけたら幸いです。