niPGT-A
◆niPGT-Aとは
niPGT-Aは、着床前スクリーニングにおける最新の非侵襲的検査手法で、TE細胞の採取を必要とせず、受精卵(胚)にやさしいアプローチを提供しています。
◆niPGT-Aの特徴
niPGT-AはTE細胞の採取を行わず、受精卵(胚)に対して非侵襲的であるため、従来のPGT-Aよりも胚を傷つけずに染色体異常の検査が可能です。具体的な手順は、受精後6日目または7日目に成長した胚盤胞から培養液を回収し、その中からDNAを抽出・増幅してNGSにより解析します。検査結果が得られるまで胚盤胞は凍結保存されます。
◆メリットとデメリット
メリット
- 胚へのダメージがない
通常は捨てられる培養液を使用するため、胚に対するダメージがない。 - 染色体異常の事前確認
移植に用いる胚の染色体異常を予め検査できるため、流産率が低下し、治療時間が短縮される。 - 先天性疾患リスク低減
先天性疾患のリスクを減少させるため、妊娠中の難しい決断を回避できる可能性がある。 - 胚グレードの向上
従来よりも低グレードの胚で検査ができ、移植前に染色体異常を調べられる。 - 妊娠率向上と流産率低減
移植の成功確率と妊娠率が向上し、流産率が低下することが期待される。 - 性別の特定
希望があれば性別を知ることができる。
デメリット
- 染色体異数性に起因しない流産には有効性がない
仮に検査が正しく成立したとしても、染色体異数性に起因しない流産に対しては有効性がない。
◆検査方法
①採卵、顕微授精 (ICSI)、胚盤胞培養: 胚を生成するために、卵の採取、顕微授精、および胚盤胞培養が行われます。
②培養液を回収します。
③培養液中のDNAはPCR法を使用して増幅されます。
次世代シーケンシング (NGS): 増幅されたDNAはNext generation sequencing (NGS) により染色体解析が行われます。
◆検査結果
NGSの解析結果は、1番から22番の常染色体と性染色体(X染色体、Y染色体)の数を示しています。解析結果はグラフで表され、染色体が3本ある場合(トリソミー)は青いライン、染色体が1本しかない場合(モノソミー)は赤いラインにプロットされます。
通常、常染色体は2本ずつ存在し、染色体異常がなければ基線上に一直線にプロットされます。
一例として、上記の検査結果では16番染色体が1本少ないため、移植候補から除くことで着床率への好影響が期待されます。
結果例:Monosomy16, [45,XX,-16]
◆留意点
ICM生検あるいはTE生検と同一胚の対応するSCMとの間の倍数性の一貫性に関しては、2023年現在世界中で議論されるところであり、明確な実証結果が存在しません。
偽陽性・・偽陰性について常に考慮する必要があります。
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