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NIPT(新型出生前診断)実施施設の拡大運用を当面見送りか

NIPT(新型出生前診断)実施施設の拡大運用を当面見送りか

厚生労働省の検討会でNIPT実施施設の在り方を議論する事になったのを理由とし、2019年6月22日、日本産婦人科学会は理事会を開き実施施設の拡大を目指した新たな指針の運用を当面見送ることを決めました。

NIPT実施施設の在り方を議論

アメリカでは一般的な検査であるNIPT(新型出生前診断)。高齢出産が増える中、日本でもNIPTの検査を受ける妊婦が年々増え続けてきている。

日本産科婦人科学会ではNIPTの受診者を35歳以上に限るなどの条件を定め、認可施設のみNIPTの検査を認めている。しかしNIPTの需要が増えるにつれ、35歳以下でも検査を実施できる無認可施設が増えつつあるのが現状だ。

そんなNIPTにおいて、厚生労働省の検討会でNIPT実施施設の在り方を議論する事になったのを理由とし、2019年6月22日、日本産婦人科学会は理事会を開き実施施設の拡大を目指した新たな指針の運用を当面見送ることを決めた。

今までは、高齢出産であったり胎児にダウン症などの遺伝子異常の疑いがある人のみが羊水検査をするといったイメージであったが、羊水の検査には母体にも胎児にも多少なりともリスクが発生する。その点NIPTでは妊婦の血液を調べるだけで(13.18.21トリソミー)などの染色体異常がわかる為、母体や胎児へのリスクを最小限に抑える事ができるのだ。

もちろんNIPTは確定診断ではない為、NIPTで陽性が出た際には確定診断である羊水検査を行う事になるのだが、羊水検査前にワンクッション置ける検査の存在は身体的にも精神的にも大きいのではないだろうか。

認可施設と無認可施設の現状

NIPTでの検査結果が陰性の場合は安心して出産する事ができるかもしれないが、陽性が出た場合は妊娠中絶につながるケースも少なくない。その為、命の選別になりかねないとNIPTの検査自体が懸念されているのも事実だ。

NIPTが日本産婦人科学会からは認可施設のみが認められているのもそういった理由が大きい。しかし、実際には認可施設の方が無認可施設に比べて費用が高かったり年齢制限があったりと敷居が高いイメージでもある。

現在は無認可施設においても、羊水検査の補助を受けられる施設が増えていたり、遺伝カウンセラーによるカウンセリングや全染色体の検査が可能であったりと検査内容が充実している施設も多い。

NIPTの今後について

無認可施設が増えれば増えるほどに施設同士が競合し合い、金額面、技術面等において消費者へのニーズに答える為、施設のレベルが上がっていくのであれば良い事なのではないか。そして一般的な検査として認識され広がっていくことによって、今よりもっと気軽に受けられる身近な検査になっていくのではないだろうか。

時代は移りゆくにつれ、人も医療も技術も日々進化している。今後NIPTがどのように変化していくのか期待したい。

妊婦の血液でダウン症など胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」について日本産科婦人科学会は二十二日、理事会を開き、実施施設の拡大を目指した新たな指針の運用を当面見送ることを決めた。厚生労働省の検討会で実施の在り方を議論することになったのが理由としている。

新指針は、条件を満たせば規模の小さな開業医にも検査を認める内容で、日本小児科学会や日本人類遺伝学会が反発していた。一方で指針を無視して検査を提供する民間クリニックも増えており、厚労省は混乱を避けるためにも国として対応が必要と判断した。

新出生前診断を受けた結果、妊娠中絶につながるケースもあり、命の選別になりかねないとの指摘もある。このため日本医学会が認定した全国約九十カ所の施設に限定して実施が認められており、産科婦人科学会のルールに沿って検査している。しかし、ルールに従わずに検査を行う民間クリニックが増加。対策として産科婦人科学会は今年三月、少しでも適切な形で検査を受けてもらおうと、研修を受けた産婦人科医がいる施設であれば、開業医などの規模の小さな病院でも検査をできるとした新しい指針案を発表していた。

二十二日の理事会で正式に承認されたが、運用は国の議論を見極めるまで凍結する。現在認定されている約九十の施設は検査の継続を認める。

厚労省が検討会を立ち上げる方針は二十一日に担当者が学会に文書で伝えた。

<新出生前診断> 妊娠10週以降の早い時期に妊婦の血液を採取し、含まれる胎児に関連するDNAの断片を解析してダウン症など3種類の染色体異常を調べる検査。陽性判定が出たとしても、結果の確定には羊水検査が必要となる。日本では2013年から臨床研究として実施されてきた。昨年9月までに約6万5000人が受け、886人の妊婦で胎児の染色体異常が確定した。