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皮膚がん関連遺伝子

以下は、指定された遺伝子(DDB2、ERCC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、POLH、XPA、XPC)についての詳細な解説です。これらの遺伝子は、主にDNA修復、特にヌクレオチド除去修復(NER)に関連しており、紫外線によるDNA損傷やその他の環境的なDNA損傷に対する保護機能を持っています。


1. DDB2(Damage-Specific DNA Binding Protein 2)

  • 役割: DDB2は、紫外線(UV)損傷を受けたDNAを認識するタンパク質で、損傷部位に結合し、ヌクレオチド除去修復(NER)経路を通じてDNAの修復を促進します。DDB2は特に紫外線によって生成されるピリミジンダイマーの修復に重要です。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症(XP)。DDB2の異常は、紫外線によるDNA損傷の修復不全を引き起こし、皮膚がんのリスクを高めます。

2. ERCC1(Excision Repair Cross-Complementation Group 1)

  • 役割: ERCC1は、DNA修復におけるNERプロセスの重要な因子です。特に、DNAの損傷部分を切除し、新しいDNAを合成するためのテンプレートを提供します。
  • 関連疾患: ERCC1の異常は、Fanconi貧血やさまざまながんのリスク増加に関連しています。DNA損傷修復ができないため、損傷が蓄積しやすくなります。

3. ERCC2(XPD, Excision Repair Cross-Complementation Group 2)

  • 役割: ERCC2は、DNAヘリカーゼとして働き、DNA修復の際に二重らせん構造をほどく役割を果たします。NERプロセスでDNA損傷を解消するための初期段階で重要です。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症およびコケイン症候群。ERCC2の変異は、DNA修復を阻害し、皮膚がんや早老症を引き起こします。

4. ERCC3(XPB, Excision Repair Cross-Complementation Group 3)

  • 役割: ERCC3は、DNAヘリカーゼとして働き、DNA損傷部分を修復するために、DNAの二重らせん構造をほどく役割を担っています。ERCC3もNERにおいて重要な役割を果たします。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症(XP)コケイン症候群。ERCC3の変異により、DNA修復が不十分となり、これらの疾患のリスクが高まります。

5. ERCC4(XPF, Excision Repair Cross-Complementation Group 4)

  • 役割: ERCC4は、DNAの損傷部位を切断するための核酸切断酵素として働きます。ERCC4は、DNAの異常な部分を除去する際に重要な役割を果たし、修復プロセスの一部です。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症コケイン症候群、さらに一部の遺伝性がんリスク増加と関連しています。ERCC4の変異は、DNA修復を阻害します。

6. ERCC5(XPG, Excision Repair Cross-Complementation Group 5)

  • 役割: ERCC5は、DNAの損傷部位を切断する核酸切断酵素として働き、ERCC4と協力してDNA損傷を修復します。特にNER経路で、損傷部分を切り取る役割を担います。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症コケイン症候群。ERCC5の変異は、DNA損傷が修復されないため、がんや神経疾患のリスクを高めます。

7. POLH(DNA Polymerase Eta)

  • 役割: POLHは、DNAポリメラーゼとして、紫外線(UV)によって損傷を受けたDNAを修復する役割を持っています。特に、UV損傷によるピリミジンダイマーの修復に重要です。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症バリアント型(XP-V)。POLHの変異は、紫外線によるDNA損傷を適切に修復できず、皮膚がんリスクを増加させます。

8. XPA(Xeroderma Pigmentosum, Complementation Group A)

  • 役割: XPAは、DNA損傷認識因子として、NERシステムの中で最初に損傷を認識し、修復を開始する役割を持ちます。損傷があるDNAに結合し、修復複合体の集結を助けます。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症(XP)。XPAの変異は、紫外線によるDNA損傷修復を阻害し、皮膚がんリスクを高めます。

9. XPC(Xeroderma Pigmentosum, Complementation Group C)

  • 役割: XPCは、損傷部位の認識において主要な役割を果たし、DNA修復の早期段階で損傷DNAを認識して修復機構を開始します。
  • 関連疾患: 色素性乾皮症(XP)。XPCの変異により、損傷認識が阻害され、紫外線によるDNA損傷が修復されないため、皮膚がんのリスクが大幅に増加します。

まとめ

これらの遺伝子(DDB2、ERCC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、POLH、XPA、XPC)は、特にヌクレオチド除去修復(NER)に関連しており、紫外線によるDNA損傷やその他の環境的損傷を修復するために重要です。これらの遺伝子に変異があると、色素性乾皮症(XP)コケイン症候群のような疾患のリスクが高まり、紫外線に対する防御機能が弱まるため、皮膚がんのリスクが大幅に増加します。