中国での出生前診断ミス。健康な胎児1万5000人中絶。
中国での出生前診断ミスが発表され、日本を含め世界100を超える国や地域にサービスを提供している中国のゲノム解析大手のBGI社(華大基因科技有限公司)に関する告発が注目されました。
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中国における出生前診断ミス
中国での出生前診断ミスが発表され、日本を含め世界100を超える国や地域にサービスを提供している中国のゲノム解析大手のBGI社(華大基因科技有限公司)に関する告発が注目された。
BGI社は、お腹の中の赤ちゃんがダウン症やその他染色体異常があるかどうかを調べるNIPT(新型出生前診断)も行なっている。しかし、この出生前診断の検査ミスでダウン症などの染色体異常の疑いがある胎児と一緒に健康な胎児も含まれていたとのことだ。
出生前診断におけるダウン症候群に関する陽性率が5倍
中国版Twitterの「微博」で王徳明氏が実名でBGI社の出生前診断について投稿したことによりこの内容が明らかとなり話題となった。王徳明氏のTwitterによると、「BGIのNIPT陽性率は1/164(0.6%)に対して、中国国家衛生・計画生育委員会のNIPT統計データでは、ダウン症候群に関する陽性率は1/800〜1/1000(0.125%〜0.1%)と定めている。BGIの基準は国家の5倍以上」と投稿された。
実名で告発した王徳明氏は過去にBGI社と業務提携をしていた健康管理会社の社長であり、今回事業を巡り対立し、訴訟へと発展したようだ。
約1万5000人もの健康な胎児が出生前診断のミスによる中絶
BGI社による発表では、2017年末までで全国280万件のNIPTを実施したとされている。王徳明氏によると、約1万5000人もの健康な胎児が検査でダウン症などの異常の恐れがあるとして中絶されたとの事だ。王徳明氏はBGI社に対し、「100人を誤殺しても、一人(の異常胎児)も漏らさないのがBGIの方針だ。まさに殺人だ」と強く非難している。
この中国のBGI社は日本では兵庫県の神戸市にBGI JAPANを設立しており、日本ではシーケンス解析(塩基配列)、ジェノタイピング(遺伝子型決定・遺伝子型判定)、バイオインフォマティクス解析(生命情報科学)などを行なっている。
偽陰性によるダウン症などの染色体異常児出産の報告も
中国のインターネット上では2018年7月中旬にも、BGI社のNIPT技術を疑問視する記事が注目された。BGI社でNIPTの検査を受けた妊婦らが胎児に異常がないとの診断を受けたにも関わらず、ダウン症などの染色体異常の子供を出産したのだ。
BGI社は検査の検出率と特異度はそれぞれ99%を上回ったと報告しながら、実際には13トリソミー95%、18トリソミー85%、21トリソミー70%以上の検出率であり、100%の高精度ではないことと、偽陽性と偽陰性があった事を認めた。
中国に検体を輸送している施設には注意
日本ではNIPTの検査は確定診断をするものではなく、あくまでも可能性を診断する非確定検査だという事を説明をされた上で検査を受け、陽性反応が出た際は確定検査である羊水検査を行う流れとなる。
その為、日本で中国と同じような事が起こる可能性は低いように思えるが、注意は必要である。日本国内のNIPT検査施設で検体を中国に輸送している施設は無いとは言い切れないからだ。
NIPTの検査を受ける際には、検体をどこの検査機関に依頼しているのかを事前に確認する事が、ひとつの安心を掴む手段なのではないだろうか。